肺炎のお話し(第3回)

寒い季節に増える肺炎に注意しましょう。

若者の肺炎と言えばマイコプラズマ

小さな生き物マイコプラズマ

マイコプラズマという生物はあまり聞いたことがないかもしれません。

実はマイコプラズマは自分自身で増えることができる最小の生物と言われています。

小さい生物にはウイルスなどがありますが、ウイルスは自分自身で増えることができず、ヒトの細胞などの力を借りて増えます。

でも、マイコプラズマはヒトの細胞など利用しないでも、自分だけで増えることができます。

この小さな生き物のマイコプラズマは細菌と大きな違いがあります。

それは、マイコプラズマは細胞壁をもっていません。このことがペニシリンなど細菌には効く抗生物質が効かない理由なのです。

オリンピックとマイコプラズマ

前回、肺炎の原因で最も多いのは肺炎球菌ということをお話ししました。

確かに、高齢の方の肺炎では肺炎球菌が一番多いのですが、若い人の肺炎ではマイコプラズマが最も多いと言われています。

そして面白いことに、マイコプラズマの肺炎は4年に1度の間隔で流行し、オリンピックがある年には流行すると言われていました。

でも、最近はその周期が崩れてきて、オリンピックがないときでも流行する年もあります。

マイコプラズマによる肺炎は、頑固な咳が特徴と言われています。

それから、専門的になりますが、聴診器で肺の音を聞いてみると痰が絡んだような音が聞こえることが少ないとされています。

その他にも血液検査をすると白血球の数がそれほど増えないことも特徴とされています。

マイコプラズマでも薬剤耐性が

先ほど話したように、マイコプラズマは細胞壁をもっていません。

ペニシリンなどの抗生物質は細胞壁にくっ付いて効果を表します。

そのため、マイコプラズマではペニシリンは効果がないことになります。

しかし、マクロライド系薬やキノロン系薬といった抗生物質が効くため、マイコプラズマ肺炎を治療するときは、このようなお薬を使います。

ただし、細菌と同じようにマイコプラズマでも薬剤耐性が問題となっており、マクロライド系薬が効かないマイコプラズマが年々増えてきています。

マイコプラズマにも正しく抗生物質を使う必要があるようです。

さて、最終回は少し珍しい肺炎の一つとしてレジオネラ肺炎を取り上げます。

こうご期待。

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