マールブルグ病とは
マールブルグ病は1967年8月西ドイツ(当時)のマールブルグ(Marburg )で最初の患者が発生しました。
当時、ポリオワクチンの製造や実験のために、アフリカのウガンダから連れてきたミドリザルの解剖などを行っていた研究員やその後かたずけなどをしていた人に発症しました。
最初の事例では合計で25人に発症して、そのうち7人が亡くなりました。
その他にも感染した患者の治療にあたった医療従事者の6人に二次感染が起きましたが、死亡者はいませんでした。
最初に発生した場所にちなんでマールブルグ病と呼ばれています。
その後、アフリカのケニア、ジンバブエ、ザイール(現コンゴ民主共和国)などで発生し、いずれも1〜2名で死者も出ています。
マールブルグ病の原因や症状、治療法は
マールブルグ病はマールブルグウイルスによるウイルス感染症です。
マールブルグウイルスはエボラウイルスと同じ仲間で、最初の事例はアフリカミドリザルから感染したと考えられていますが、それ以降の事例は必ずしもサルと関係なく、何らかの自然界の動物から感染したと考えられています。
しかし、今でも自然界におけるどんな動物がこのウイルスを持っているかははっきりとわかっていません。
人から人に感染することは確かですが、どのようにして感染するかもはっきりわかっていません。
潜伏期間は3~7日で、エボラ出血熱などと同じように、突然の高熱で発症します。
その後で、吐き気や下痢などの症状がでてきます。
さらに、全身に皮疹が出てきます。
はっきりした致死率は不明ですが、エボラ出血熱と同様に死亡することが多い、危険な感染症です。
現時点では、ワクチンや治療薬はありません。
日本で患者が発生した場合はエボラ出血熱と同様に1類感染症にしてされているため、第1種感染症指定医療機関で厳重に隔離されます。
1類感染症
- エボラ出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱
- 南米出血熱
- マールブルグ病
- 痘そう
- ペスト
今回の赤道ギニアでのマールブルグ病の発生はこれまでになく患者数が多いことから注意が必要とされています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症