耐性菌とはどんな菌ですか?
本来、その菌に効くはずの薬が効かなくなった菌です。
抗生物質は菌を殺すお薬です。
その抗生物質が効かなくなった菌を耐性菌と呼びます。
感染症の治療に抗生物質を必要以上に使ったり、長い間使ったときに耐性菌はできます。
また、一部の耐性菌は遺伝子を隣の菌に移して広がっていきます。
なぜ、耐性菌が増えると困るのですか?
これまで、抗生物質で治せて感染症が治らなくなってしまいます。
耐性菌が増えると、これまで抗生物質で治っていた感染症が治らなくなります。
感染症が治らなくなると、お年寄りや重い病気をもっている人では重症になったり、時には死亡することにもなります。
また、その菌に効くはずのお薬が効かなくなると、使えるお薬が限られてしまいます。
もし、その限られたお薬で副作用がでたときには、全くお薬が使えなくなります。
なぜ、外国で耐性菌が多いのですか?
一部の国では、抗生物質が簡単に薬局で買えるので、不必要な抗生物質が使われているからです。
東南アジアなどの一部の国では抗生物質が「マツモトキヨシ」のようなお店でも手軽に買えます。
そのため、本来は抗生物質が不必要な時でも、安易に抗生物質を飲んでいます。
そのことによって、人の体の中にいる菌が耐性菌になってしまいます。
例えば、人の体の中にたくさんいる大腸菌まで抗生物質が効かない菌になってしまいます。
さらに、その耐性菌がお手洗いの環境や、水などを介して広がっています。
外国から耐性菌をもってこないためにはどうすればいいですか?
外国では安易に抗生物質を飲まないで、日本に帰ってからもしばらくはいつも以上に手洗いをしてください。
外国に行っても安易に抗生物質を飲まないでください。
そのような耐性菌の多い外国にしばらくいると、体の中の菌も耐性菌になってしまいます。
日本に帰ってからも、お手洗いや食事の前後にはいつも以上に手洗いをしっかりしてください。
日本でしばらく生活すれば、体の中の耐性菌もいなくなってしまいます。
外国では安易に抗生物質を飲まないで、帰国してからはしっかり手洗い。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症