今日の新着記事抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の耐性ウイルスが相次いで出現した問題で、日本感染症学会はゾフルーザを12歳未満に投与するのは慎重に検討すべきだとする提言をまとめた。12歳以上と成人についてはデータが不足しているとして推奨・非推奨を決められないとしている。2019年10月17日配信朝日新聞社
お母さん
ゾフルーザはどんな薬ですか?
インフルエンザウイルスに有効なお薬です。
前崎 先生
ゾフルーザはインフルエンザウイルスに有効なお薬です。
インフルエンザウイルスが体の中で増えることを抑える働きがあります。
インフルエンザの患者さんがこのお薬を飲むと、飲まない人に比べて、早く熱が下がります。
お母さん
これまでのインフルエンザのお薬とどこが違うのですか?
タミフルなどのこれまでのお薬とは薬の効き方が違います。
前崎 先生
これまでのタミフルなどのインフルエンザのお薬はノイラミダーゼ阻害薬と呼ばれるものでした。
飲み薬や吸入薬、また注射薬などお薬の使い方は違いがありますが、すべてノーラミダーゼ阻害剤で、お薬の効き方は一緒でした。
ゾフルーザはこれまでのお薬とはインフルエンザウイルスが増えることを抑える働きが違うお薬です。
世界中でもこのお薬が使える国は日本だけです。
お母さん
どうして12歳以下の子供にこのお薬を使ってはいけないのですか?
使ってはいけないというより、大切に使いましょうという意味です。
前崎 先生
タミフルなどのこれまでのインフルエンザのお薬が効かなくなった時に、この新しいお薬が効く可能性があります。
そのため、タミフルで治すことができるインフルエンザの患者さんには、ゾフルーザをわざわざ使わなくてもいいと思います。
それに、多くの患者さんがゾフルーザを飲めば、このお薬が効かないインフルエンザウイルスができてしまします。
実際に、ゾフルーザの効かないウイルスが増えてきているという報告もあります。
大切なお薬は大事に使いましょうというお願いです。
ここがポイントゾフルーザはインフルエンザに有効なお薬ですが、効果がなくなってしまうインフルエンザウイルスができないように、大切に使いましょう。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症