被災地で注意が必要な感染症
被災地で注意が必要な感染症の種類
- 避難所の過密状態に伴う感染症 インフルエンザ、COVID-19
- 水系/食品媒介性感染症 サルモネラ・カンピロバクター・ノロウイルス・ロタウイルス
- 野外活動等で注意する感染症 破傷風・創傷関連皮膚感染症・レジオネラ症
被災地で注意が必要な感染症はその発生するリスクからいくつかに分けられます。
noto20240107まず、避難所ではさまざまな感染症が集団発生しやすい環境にあります。
とくに、インフルエンザやCOVID-19などの急性呼吸器感染症は、ヒトが密集する状態や、劣悪な換気状態などが原因となります。
今回の地震は冬期んび発生しており、インフルエンザなどの流行の時期となっており、注意が必要です。
さらに、水を介した感染症にも注意が必要です。
被災地では未だに水道が十分に復旧しておらず、断水している地域も多くあります。
そのため、トイレを十分に清潔な状態で使用することが困難な避難所も多く、ノロウイルスなどの消化器の感染症が多発しています。
また、食器などの洗浄も不十分な場合が多く、食中毒も起きやすい環境にあります。
最後に、復旧作業など野外で活動することに伴う感染症にも注意が必要です。
がれきや壊れた住宅などの中で作業をする際には、釘などを踏む危険性もあり、破傷風などの感染症の危険があります。
避難所での感染対策
避難所では、水道や電気がなく、日常的に行っている感染対策ができないことが多くあります。
水道がないと、流水による十分な手洗いができなくなり、感染のリスクが高くなります。
そのため、水道がない場合には、アルコールによる手洗いを行い、感染対策をします。
アルコールによる手洗いをする場合には、アルコールによる消毒が手の全体になるように注意が必要です。
000334134また、避難所におけるトイレの衛生管理では
- 居住区域は、土足厳禁を徹底
- 手洗い場とトイレはなるべく近くに設置
- 流水を使って手洗い
などを行うことが大切です。
靴を履いたままでは、トイレで汚染された履き物を介して感染がひろがるおそれがあります。
また、トイレから手洗い場までの距離が離れていると、手洗いが徹底されないことがあります。
避難所内の感染拡大を防ぐために、下痢、嘔吐、発熱などで体調の悪い利用者がいないか常に注意し、また、そのような症状がある場合は申し出ることが大切です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症