ファイザーのワクチンにおける5~11歳への有効性
ファイザーのワクチンの5~11歳への臨床試験が海外で実施され、デルタ株などの従来株への発症予防効果が90.7%であったことが報告されています。
接種するワクチンの量は大人の1/3となる10μgを2回接種します。
接種後の中和抗体は大人と同じ30μgを接種した16~25歳とほぼ同じでした。
ただこの結果はオミクロン株以前のものでした。
オミクロン株流行時の5~11歳の救急外来受診を予防する効果がワクチン接種によって51%と報告されています。
また、米国の研究では、無症状者も含めた感染予防効果が31%あり、入院を予防効果も68%あったと報告されています。
しかし、発症予防効果は、2022年1月初旬には48%だったのが徐々に低下し、1月下旬には12%まで低下しました。
この短期間での発症予防効果が弱くなった原因は接種量が少ないことが影響している可能性が考えられています。
5~11歳の子どもにおけるワクチンの安全性
海外の5~11歳の臨床試験における副反応は成人より少なくなっています。
主な副反応である38℃以上の発熱が1回目7.9%、2回目13.4%でした。
また、ワクチン接種後に登校ができなかった子供は1回目7.9%、2回目10.9%でした。
このことはインフルエンザワクチンなどより少し高い数字になっています。
日本での調査でも副反応は成人に比べて低い頻度でしたが、対象者数が少ないので何とも言えません。
組み換えタンパクワクチンとは
組み換えタンパクワクチンは新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質の遺伝子をもとに作られた組換えタンパク質を抗原として使います。
mRNAワクチンは遺伝子ですが、組み換えタンパクはタンパク質を小さな粒子の中に入れて人に投与します。
組換えタンパクワクチンは不活化ワクチンの一種であり、日本においても、B型肝炎ウイルスワクチンなどすでに他のワクチンに使われています。
新型コロナウイルスのワクチンとしては武田社のワクチン(ノババックス)が日本でも使えるようになりました。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症