新しい2価のmRNAワクチン
米国のモデルナ社は6月にオミクロン株にも対応した新しい2価のmRNAワクチンの開発した公表しました。
これまでのmRNAワクチンは3回目、4回目接種でもオミクロン株に対する中和抗体の産生が少ないことが判りました。
また、その中和抗体も早期に減弱して、効果がなくなることが判りました。
そのため、新たにオミクロン株のmRNAも同時に入れた2価のワクチンが開発されました。
新しい2価のワクチンはオミクロン株にも有効
モデルナ社はこれまでのmRNAワクチン(mRNA-1273)と新しい2価のワクチン(mRNA-1273.214)の比較の臨床試験を行いました。
その結果、mRNA-1273.214を追加接種することによって、オミクロン株に対する中和抗体が約8倍増加することが判りました。
さらに、デルタ株以前のこれまでの変異株に対する中和抗体も十分作られることが判りました。
発熱や倦怠感、および注射部位の疼痛などの副反応はこれまでのmRNA-1273ワクチンとほぼ同じ程度とされています。
ファイザー社も同様に2価のmRNAワクチンを開発中です
米国のファイザーとドイツのビオンテックも6月にオミクロン株に対応した2価のmRNAワクチンを開発したと発表しました。
臨床試験ではオミクロン株の派生型「BA・1」を標的としたワクチンを30μgと60μgを接種しました。
その結果、BA・1に対する中和抗体価がそれぞれ13.5倍と19.6倍に増加しました。
しかし、実験の結果から現在流行しているBA・5に対する抗体を作る作用が弱いことが判り、効果があるか若干疑問視されています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症