全国的に梅毒の患者数が増加していますが、埼玉県ではすでに過去最多の患者数を更新しました。
特に若年者での梅毒の患者数が増加傾向にあります。
早期発見とともに不特定多数の性交渉を行わないなどの教育啓蒙が必要と思われます。
梅毒はどんな感染症
原因は梅毒トレポネーマとなる細菌の感染症です
梅毒は梅毒トレポネーマを原因菌とする細菌の感染症です。
主に性的な接触によって感染する性行為感染症の一つです。
感染しても終生免疫ができず、再度感染することもあります。
時間とともにさまざまな症状が現れます
感染すると数週間の潜伏期間を経て、最初は初期硬結や硬性下疳とよばれるおできのようなものができます。
痛みやかゆみを伴うことはありません。
その後、数週間から数か月後に梅毒トレポネーマが血液を介して全身に広がり、全身や粘膜の皮膚に発疹が現れます。
しかし、これらの発疹は治療をしなくても数週間から数か月で自然になくなっていきます。
全く治療をしないと、そのうちの一部に患者さんが数年から数十年後に心臓や血管に病気を起こしてきます。
梅毒の診断や治療は
梅毒トレポネーマは培養することができません。
そのため、診断は患者さんの血液中に梅毒トレポネーマの成分やカルジオリピンと呼ばれる成分に対する抗体があるか否かを調べます。
治療には抗生物質の一つであるペニシリンが有効です。
飲み薬や筋肉注射でペニシリンを投与すれば、治すことができます。
RPR法 | TPHA法 | 解釈 |
- | - | 梅毒ではない |
+ | - | 生物学的偽陽性または極めて初期の梅毒 |
+ | + | 梅毒あるいは治療後 |
- | + | 治療後 |
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症