知っておきたいおとなのワクチン(最終回)
私たちには欠かせないワクチンです。 肝炎ワクチン
おとなのワクチンの最終回は肝炎ウイスルワクチンを取り上げます。
肝炎ウイルスには、A型、B型、C型の3種類のウイルスがあります。
その中で、A型とB型の肝炎ウイルスに対してはその感染を防ぐワクチンがあります。
A型肝炎ウイルスはウイルスで汚染された水や食べ物を口にして感染します。
日本の衛生環境では、A型肝炎ウイスルに感染することはありませんが、開発途上国ではいまだにA型肝炎ウイルスに感染することがあります。
そのため、A型肝炎ウイルスワクチンは前回にお話しした、黄熱ワクチンと一緒で、開発途上国などに行く際に接種が必要となります。
不活化ワクチンで、接種回数が3回と多いため、そのような国に行く際には前もって接種する必要があります。
もう一つの肝炎ワクチンはB型肝炎ウイスルワクチンです。
B型肝炎は血液を介して感染し、慢性肝炎や肝硬変、あるいは肝臓がんの原因となります。
このB型肝炎で問題になるのは、私たち医療従事者です。
医療従事者は点滴や採血など血液に触れる機会が多くあります。
もし、その血液中にB型肝炎ウイスルがいた場合をそのような医療行為によって感染するリスクがあります。
そのため、医療従事者はB型肝炎ウイルスの抗体を持っていない場合は、このワクチンを接種して感染することを防ぐ必要があります。
このワクチンも不活化ワクチンの1種で、接種回数が3回と多いため、多くの病院では病院内で働く人たちを対象に接種を行っています。
これで、今回の感染症の小部屋のシリーズがおしまいになります。
次回からはまた新しいテーマで解説をしていきます。ご期待ください。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症