今日の新着記事 新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」について、富士フイルム富山化学が近く国に製造販売の承認を申請することがわかった。9月中旬まで実施した臨床試験(治験)のデータを20日に精査し、一定の有効性が確認できたもようだ。承認されれば、日本で開発された新型コロナ治療薬としては初めてとなる。2020年09月20日配信 朝日新聞社
サラリーマン
アビガンはどんなお薬ですか?
本来はインフルエンザの治療薬です。
前崎 先生
アビガンは本来はインフルエンザに有効なお薬です。
インフルエンザにはタミフルなどいくつかのお薬が有効ですが、アビガンはウイルスに対する作用がこれらのお薬とは若干異なっています。
日本で開発されたお薬で、将来タミフルなどのこれまでのお薬が効かないようなウイルスが出現したときに使うお薬とされてきました。
サラリーマン
アビガンはなぜ新型コロナウイルス感染症にも効くのですか?
新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスの仲間なのです。
前崎 先生
新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスの仲間です。
そのため、インフルエンザウイルスに有効なアビガンも新型コロナウイルスに効くのではないかと考えられていました。
実際にはRNAポリメラーゼと呼ばれるウイルスの増殖に必要な酵素の働きを阻害するので、理論的には新型コロナウイルスの増殖も抑えることが期待されました。
サラリーマン
アビガンには副作用はありませんか?
動物実験で奇形の子供が生まれることから、妊婦さんのは使用できません。
前崎 先生
アビガンは動物に投与すると奇形の子供が生まれることが示されています。
そのため、お腹に赤ちゃんがいる妊婦さんには投与することはできません。
また、痛風の原因となる尿酸の値が高くなるため、もともも尿酸値が高い患者さんに使うときは注意が必要です。
ここがポイント本来はインフルエンザのお薬であるアビガンが新型コロナウイルスに有効であることが、臨床試験で確認されました。今後、広く新型コロナウイルスの患者さんの治療に使われる可能性があります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症