こんなところにも感染症が(第1回)
目の周りに起きる感染症です、眼感染症
今回の小部屋では内科が専門の私としてはあまりなじみのない感染症を取り上げます。
感染症は全身に病気を起こす疾患などで、全身のあらゆる臓器に感染します。
その中で第1回目の今回は眼感染症を取り上げることにします。
多くは眼科の先生が診断される病気なので、私もあまり詳しくないため、間違えがあればお許しください。
まず、眼の感染症で最も多いものは麦粒腫と呼ばれる病気です。
俗にいう「ものもらい」で多くの人が一度は罹ったことがあると思います。
眼瞼の急性化膿性炎症で、眼の周りの腺や毛嚢に感染が起きます。
原因となる菌は多くは黄色ブドウ球菌で、小児や糖尿病患者ではより深く眼窩蜂窩織炎になることがあります。
次の多い眼感染症は結膜炎です。
結膜炎はその原因となる微生物によってウイルス性、細菌性、クラミジア性と分けられます。
眼が充血したり、目やにが多く出たり、涙が止まらなくなるなどの症状がでます。
その他には、角膜炎があります。
角膜炎にはヘルペスウイルスによるウイルス性角膜炎や細菌性、真菌性角膜炎があります。
眼が痛くなったり、眼の中になにかごろごろするものを感じたり、ひどい場合は視力が低下することもあります。
最近では、コンタクトレンズをつけている人にアカントアメーバや真菌による角膜炎が多くなっています。
きちんと眼科の専門医に受診して治療しないと、失明することもあるので注意が必要です。
次回は、歯の感染症である歯性感染症を取り上げます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症