サル痘、医療従事者らへ天然痘ワクチンの接種を検討 治療薬も準備

今日の新着記事天然痘に似た感染症「サル痘」について、厚生労働省は、患者と接する可能性の高い医療従事者らに対し、天然痘のワクチンをあらかじめ接種することを検討する。国内ではまだ患者の報告はないが、海外で拡大しており発生に備える。29日にあった専門家の部会で明らかにした。2022年6月30日配信朝日新聞

天然痘はどんな病気

天然痘は天然痘ウイルスによる感染症です。

紀元前から天然痘と思われる病気の記載があり、歴史的にも長い間人類を苦しめてきました。

1796年に英国の医師であるジェンナーが天然痘の予防法として種痘(vaccine)を発明しました。

ワクチンという言葉はこの種痘(vaccine)から来ています。

このワクチンが全世界の人に接種され、1980年5月にWHOは世界根絶宣言を出しました。

それ以降、世界中で天然痘の患者は発生していません。

日本における天然痘

日本には奈良時代に中国から天然痘ウイルスが入って来たと考えられています。

その後、日本でも流行し、多くの人が天然痘で命を失いました。

あの東大寺の大仏は天然痘の流行が鎮まることを祈って建立されたとのことです。

その後、江戸時代に日本でも種痘が接種されるようになり、患者数は激減しました。

そして、1980年(昭和55年)に天然痘のワクチン接種も廃止されました。

根絶された天然痘になぜ治療薬が

世界中から根絶された天然痘になぜ薬が必要なのでしょう。

それは天然痘ウイルスがバイオテロ(生物兵器)として使われる危険性があるからです。

天然痘の死亡率は20~50%と高く、感染すれば多くの人が死んでしまいます。

しかも、ワクチン(種痘)を接種していない若い人に感染します。

また、特徴的な皮疹は見た目にもグロテスクで、社会にパニックを起こします。

さらに、この生物兵器は安価に作ることができるため、経済的に決して豊かではない国でも作ることができます。

今回は、天然痘と似たウイルスであるサル痘の感染を防ぐために、天然痘のワクチンを医療従事者に接種することが検討されています。

先日、英国から報告されたサル痘の患者に関するレポートをもとにサル痘について解説しました。サル痘の原因微生物、症状、治療などについてわかりやすく解説しました、ご参考にしてください。
ここがポイントサル痘の感染を防ぐためにある程度の効果があると思われる天然痘のワクチンを感染の危険性が高い医療従事者に接種することが検討されています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする