知っておきたいおとなのワクチン(第2回)
65歳以上の高齢者はぜひ接種してください。肺炎球菌ワクチン
おとなのワクチンの2回目は肺炎球菌ワクチンについて解説します。
肺炎球菌とは呼んで字のごとく肺炎を起こす最も多い原因菌です。
とくに65歳以上の高齢者の肺炎の多くはこの肺炎球菌によっておきます。
肺炎球菌は一般細菌なのでペニシリンなどの抗生物質で治療することができます。
しかし、最近この抗生物質が効きにくい耐性の肺炎球菌が増えてきています。
そのため、この肺炎球菌による肺炎を防ぐために肺炎球菌ワクチンが有効です。
このワクチンの効果を検証するために、高齢者施設に入所中の老人約1,000人に本当のワクチンと偽薬を接種した老人を比べると
ワクチンを接種した老人では、偽薬を接種した老人より約60%の肺炎の発症を抑制したことが確認されました。
成人の肺炎球菌ワクチンには23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPV23)と13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の2種類がわが国で使われています。
そのうちPPV23ワクチンであるニューモバックスが高齢者の定期接種に使われています。
なお、PCV13ワクチンは2ケ月齢以上6歳未満の子供を中心に使われています。
ただし、肺炎球菌ワクチンはインフルエンザワクチンを必ず接種しないと死亡率を下げないとの報告もあるため、
高齢者では毎年のインフルエンザワクチンを忘れずに接種することが大切です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症