オウム病の原因微生物はクラミドフィラです。
オウム病はと鳥との接触によって感染します。
オウム病の原因微生物はクラミドフィラと呼ばれる細菌の1種です。
他の細菌と違って、自分では増えることができないため、他の細胞の中で増えます。
他の細胞に感染するときは基本小体と呼ばれる小さな粒子状の細胞になり、他の細胞の中に入ると網状体と呼ばれ、増殖して行きます。
細胞内である程度増えたら、再度細胞の外に出て、基本小体となって他の細胞に感染します。
このクラミドフィラは鳥にも感染しますが、鳥は一般的には元気なままです。
このクラミドフィラを持っている鳥が弱ったときや、ひな鳥の時には体の外にクラミドフィラを排出します。
この排出されたクラミドフィラをヒトが吸い込んだり、手で触ったりして感染します。
時には、口移しに鳥に餌をあげたときに、口からクラミドフィラが入って感染することもあります。
オウム病では呼吸器の症状がでます
オウム病はインフルエンザなどと同じように突然の高熱で発症します。
その後に多くは乾いた咳がでてきたり、筋肉痛や頭痛を認めます。
多くは軽症で経過しますが、重症の肺炎や髄膜炎、心筋炎などを起こすこともまれにあります。
検査では白血球数が増えることは少なく、肝機能異常を認めることがあります。
胸部レントゲンや胸部CT写真では肺炎の影を認めることがあります。
診断は血清抗体価を調べます。
感染初期と感染してから2週間後の抗体価が4倍以上高くなっていれば診断されます。
感染してすぐに診断する検査法はないので、鳥などに接触していないかどうかを詳しく聞き取ることが大切です。
ペニシリン系など一般的な抗生物質が効かないため、ミノサイクリンやドキシサイクリンなど特殊な抗生物質で治療する必要があります。
鳥と接触した後に肺炎を起こした時にはオウム病も疑って検査することが大切です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症