感染症カルタ(ア行)オズウイルス

世界初の感染事例が今年6月に日本で発見されました。

今年の6月に日本で世界で初めてオズウイルスのヒトへの感染事例が報告されました。

オズウイルスは、オルソミクソウイルス科トゴトウイルス属に分類されるRNAウイルスで、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスに近い仲間のウイルスです。

オズウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所のホームページより)

2018年に本邦でタカサゴキララマダニから発見され、オズウイルス(Oz virus)と命名されました。

さらに日本以外の国からこのウイルスが検出されたという報告はありません。

このウイルスを保有するタカサゴキララマダニは、主として関東以西に広く分布していると考えられています。

このオズウイルスに感染している野生動物は、ニホンザル、ニホンイノシシ、ニホンジカと考えられており、これらの野生動物とダニとの間でウイルスのやり取りが行われています。

今年6月に最初のヒトへの感染事例が報告されました。

この患者さんは茨城県在住の70歳代の女性で、2022年初夏に39℃の発熱と倦怠感、食欲低下、嘔吐、関節痛を認め、病院を受診しています。

新型コロナウイルスのPCRは陰性であったため、抗菌薬を処方され帰宅した後、症状が徐々に悪化して入院となりました。

この患者さんは入院時に、右鼠径部にマダニの咬着による皮下出血が認められました。

そのため、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を含むダニが媒介する感染症が疑われました。

しかし、これらの感染症の検査はすべて陰性でした。

入院時より不整脈があり、ペースメーカー留置などの治療が行われましたが、入院26日目に致死的な不整脈がおきてお亡くなりになっています。

詳しい遺伝子検査でオズウイルスの遺伝子断片が検出されました。

入院時に採取された血液や尿の詳しい遺伝子検査を行ってところを、すべての検体からオズウイルスの遺伝子断片が検出されました。

また、亡くなられた後の解剖の結果、心筋の細胞にもオズウイルスが確認され、オズウイルスによるウイルス性心筋炎によってお亡くなりになったと診断されました。

この患者さんが世界ではじめてオズウイルスがヒトに感染した事例として報告されています。

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