今回は皆様にもおなじみのインフルエンザを取り上げます。
インフルエンザは冬に流行する感染症の代表格です。
毎年、11月の下旬から12月の上旬に流行が始まり、1月下旬から2月にかけて流行がピークとなり、その後3月下旬から4月には流行が収まります。
オーストラリアなどの南半球の国々では、毎年7月から8月にかけて流行のピークを迎えます。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。
インフルエンザウイルスはA、B、Cと3つの型があります。
A型とB型ウイルス粒の表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)というタンパク質があります。
A型には15種類の赤血球凝集素(HA)と9種類のノイラミニダーゼ(NA)があり、それぞれの組み合わせによってインフルエンザウイルスの型が決まります。
A型インフルエンザウイルスは人以外にもさまざまは動物に感染し、あのクジラもインフルエンザになります。
インフルエンザは感染すると1~3日程度の潜伏期間を経て、高い熱がでて、身体が怠くなったり、節々が痛くなったりします。
いわゆる普通の「かぜ」に比べると症状が強くでます。
特に小さな子供ではインフルエンザ脳症を呼ばれる神経の病気も起こすことがあります。
インフルエンザは抗原検査キットによって診断することができます。
この検査は外来でもすぐに結果がわかるため、今ではすぐにインフルエンザかどうかわかるようになりました。
インフルエンザには抗インフルエンザ薬が効きます。
タミフルをはじめとして、数種類の飲み薬、吸入薬、注射薬があります。
さらにインフルエンザはワクチンによって重症化を防ぐことができます。
高齢者や何らかの病気の持っている人では10月から12月の間に毎年ワクチンを接種することが勧められています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症