結核。それは昔の病気ではありません。
結核のお薬は多種類を長い間飲みます。
結核の治療には抗結核薬を使います。
日本で戦後一貫して結核の患者数が減ってきたのは、この抗結核薬のおかげです。
抗結核薬は結核に良く効くお薬です。
ただし、結核の薬は多種類を長い間飲むことが原則です。
例えば、肺炎や膀胱炎などの感染症では一般的に1種類の抗生物質を飲みます。
しかし、結核では少なくても2種類、多いときは4種類のお薬を飲まなければいけません。
もし、結核を1種類のお薬で治療すると、菌がすぐ耐性菌になってお薬が効かなくなってしまいます。
そのことを防ぐために、結核の治療には必ず2種類以上のお薬を飲みます。
それと、もう一つ結核の治療がほかの感染症と違うことは、薬を長期間飲むことです。
肺炎や膀胱炎などの感染症は長くても2週間程度でお薬を止めます。
効果があれば、1週間で止めることもあります。
でも、結核では最短でも6ケ月、長ければ9ケ月間お薬を飲みます。
最短の6ケ月の治療法では、最初の2ケ月は4種類のお薬を、後の4ケ月は2種類のお薬を飲みます。
それと、結核のお薬はその期間になれば、必ず飲むことを止めていいことになります。
レントゲンで影がまだ残っていても、その期間が来れば止めてしまいます。
高齢者で免疫力が落ちていても、その期間が来れば止めてしまします。
このように、結核の治療はほかの感染症の治療と比べると少し違うところがあります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症