この世に男女がいる限り。性行為感染症
若い人では要注意です。性器クラミジア感染症
今回の性行為感染症はクラミジア感染症を取り上げます。
クラミジア感染症はクラミジア・トラコマーティスと呼ばれる微生物による感染症です。
性行為感染症の中では、淋菌感染症と同じく頻度の高い感染症で、男性では尿道炎を、女性では子宮経管炎という病気を起こします。
患者数は2002年頃まで増え続けていましたが、2010年ころから横ばいとなっています。
性器クラミジア感染症は症状が全くない、無症候の患者さんも多く、そのような患者さんが性行為によって感染を広げてしまいます。
10代後半から20代の男性の5%前後、また女性の5~8%が性器クラミジアに感染しているとの報告もあります。
男性では尿道炎を起こしますが、淋菌感染症に比べてオシッコをしたときに痛みはそれほど強くなく、また尿道からでる膿もサラサラしたものは少しでる程度です。
痛みではなくて、かゆみや、何となくオシッコをしたときに違和感がある程度の軽い症状のこともあります。
女性では帯下(おりもの)が増えてきます。また、不正出血やSexをしたときの痛みなどの症状が出ます。
また、男女ともにオーラルセックスによって咽頭にクラミジアが感染し、喉が痛くなったり、声が枯れたりすることがあります。
また、クラミジアに感染したお母さんから生まれた赤ちゃんにクラミジアによる肺炎や結膜炎をみることもあります。
性器クラミジアには抗生物質が良く効き、適切な抗生物質を飲めば95%以上で治るとされています。
ただし、無症候の患者さんも多いので、性器クラミジアの患者さんのパートナーも必ず検査して、必要であれば抗生物質を飲むことが大切です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症