今日の新着記事米国立衛生研究所(NIH)は13日までに、新型コロナウイルス感染症の治療指針を更新し、重症患者に、関節リウマチなどの治療薬「トシリズマブ」を、既にコロナ治療で広く使われているステロイド系抗炎症薬の「デキサメタゾン」と併用して投与することを推奨した。2021年03月15日配信 共同通信社
お母さん
トシリズマブはコロナウイルスに有効ですか?
直接、ウイルスを殺すのではなく、過剰な免疫反応を抑える働きをします。
前崎 先生
トシリズマブは直接的にコロナウイルスを殺してしまう働きはありません。
重症のコロナウイルス感染症の患者は感染を契機に過剰な免疫反応が起きて、症状がひどくなると考えられています。
トシリズマブはその過剰な免疫反応を抑える働きがあります。
お母さん
トシリズマブはどのようにして免疫反応を抑えるのですか?
サイトカインの一つであるインターロイキン6の働きを抑えます。
前崎 先生
トシリズマブはサイトカインの一つであるインターロイキン6の働きを抑えます。
インターロイキン6の抗体として、それに結合することによって、働きを抑制します。
そうして、過剰なサイトカインの放出(サイトカインストーム)を抑えることによって、過剰な免疫反応を抑制します。
お母さん
トシリズマブはリウマチの患者さんと同じように使うのですか?
リウマチの患者さんに使う量より多い量を使います。
前崎 先生
新型コロナウイルス感染症の治療にトシリズマブを使うときは、リウマチの患者に使う量より多くの量を使います。
さらに、リウマチの患者では、皮下注射でトシリズマブを投与しますが、新型コロナウイルス感染症では静脈注射で投与します。
また、リウマチの患者では、一定の期間を空けて、繰り返し投与しますが、新型コロナウイルス感染症では1回投与して、終了となります。
ここがポイントリウマチの治療に使うトシリズマブが重症の新型コロナウイルス感染症に有効であると考えられています。過剰の免疫反応を抑制することによって、重症化することを防ぐ働きがあると考えられています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症