ポリオはどんな病気か
ポリオはポリオウイルスによる感染症です。
ポリオウイルスは人間にのみ生息するウイルスです。
記録によるとポリオは18世紀ころにはすでに人類に感染したと考えられています。
日本では1940年代ころから流行がみられ、1960年には北海道を中心に5,000人以上の患者が発生しています。
その後、不活化ワクチンや生ワクチンが開発され、患者数は激減していきます。
WHO(世界保健機構)はポリオの世界的な根絶に向けてワクチン接種を加速しています。
それによって世界中の国々ではポリオの患者はほぼ発生しなくなりました。
日本でも2000年以降では感染者は発見されてなく、ポリオが根絶された国として認められました。
ポリオに感染するとどんな症状がでるのでしょうか
一般的にはポリオウイルスに感染しても90~95%の人は何の症状もでないとされています。
残りの5%の人は感染すると発熱や頭痛、喉の痛みなど風邪に似た症状がでますが、自然に治ってしまいます。
そしてその中の1~2%の人が無菌性髄膜炎と呼ばれる神経の病気が起きます。
そのようになると、手足の麻痺や筋肉の異常などが起きてきます。
ポリオのは有効な治療薬はありませんが、ワクチンで予防することができます。
しかし、このワクチンは生ワクチンのため、感染した時と同じような症状が出ることがあります。
頻度は正確には明らかではありませんが、200〜300万人に1人の割合で起こるとされています。
今回、米国では下水の中からポリオウイルスが検出され、ワクチンに由来しないポリオが流行する危険性があると警戒を強めています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症