チクングニア熱の流行地域は
チクングニア熱は1952年にアフリカで初めて流行が報告されました。
アジアでは1958年にタイで流行が報告された後、カンボジア、ベトナム、ラオス、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、インドネシアで流行が報告されています。
日本では2006年12月に海外からの輸入症例2例が報告されましたが、流行は起こっていません。
チクングニア熱の病原体はなんですか。
チクングニア熱の病原体はチクングニアウイルスです。
チクングニアウイルスは、トガウイルス科アルファウイルス属に分類されるRNAウイルスで、蚊に刺されることによって感染します。
感染する蚊はヤブカ属の蚊で、主としてネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊です。
チクングニアウイルスの電子顕微鏡写真(国立健康危機管理研究機構のホームページより)
チクングニア熱はどんな症状がでますか
チクングニア熱では発熱と関節痛が現れます。
関節痛は手足に多く、手首や足首など体の遠いところに多くみられます。
関節痛は一旦は良くなったあと、数週間から数ヶ月にわたって続く場合があります。
その他は約8割の患者さんに発疹はみられます。
多くの患者さんは軽症ですが、まれに脳炎や肝炎などを起こす重症例もあります。
チクングニア熱の治療法や予防法はありますか
現時点ではチクングニア熱に有効なお薬はありません。
熱冷ましや痛み止めなど対症的な治療をして安静にします。
また、予防のためのワクチンのないため、蚊に刺されないように長袖、長ズボンをはいて、殺虫剤などで蚊から身を守りましょう。

埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症