ペットの犬へのサル痘の初めての感染事例
今回の事例はサル痘に感染した男性のペットの犬にサル痘ウイルスが感染した初めての事例です。
サル痘に感染した男性は薬でコントロールされたHIV感染者で、男性同性愛者でした。
その男性がペットとして飼っていたいたItalian greyhoundと呼べれる犬種の犬にサル痘ウイルスが感染しました。
その犬は、お腹に皮疹ができて、肛門の周りにも潰瘍を伴う皮疹がでました。
その皮疹と犬の口の中からPCR検査でサル痘ウイルスが検出されました。
さらに詳しい検査をしたところ、遺伝子が飼い主のサル痘ウイルスを一致したことが判りました。
飼い主からの聞き取りで、犬はいつも飼い主と一緒に寝ていたことが判りました。
現時点では犬から人への感染は確認されていません
サル痘ウイルスはこれまでも人以外にげっ歯類や霊長類などさまざまな野生動物に感染する人獣共通感染症です。
野生動物以外では飼育されていたマーモセットやその他の霊長類に感染した事例は報告されています。
しかし、これまでは野生動物以外で、人間にかわれていた犬や猫への感染はありませんでした。
今回、初めて人からペットとして飼われていた犬にサル痘ウイルスの感染が確認されました。
この感染はおそらく感染した人との濃厚な接触あるいは、長時間の飛沫による感染と考えられています。
このことを受けて、WHO(世界保健機関)では、サル痘に感染した人はペットとの接触もできるだけ避けるように呼びかけています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症