米国から報告されたサル痘の現状
患者の多くの男性同性愛者
6月3日付で米国疾病対策センター(CDC)からこれまでに米国で発見されたサル痘患者についての報告がなされました。
それによるとこれまでに米国では21例のサル痘患者が報告され、その大部分は男性同性愛者でした。
また、患者のほとんどは発症21日前に海外旅行に行っていました。
患者はすべて26歳から63歳までの成人で、平均年齢は40歳でした。
全員に発疹を認め、4人で陰部、5人で肛門周辺から始まっていた。最終的に口腔にまで発疹が現れた患者も5人いました。
現時点では重症度は低い
サル痘ウイルスの遺伝子解析から、現在欧米諸国を中心に発生しているサル痘には、遺伝的に異なる2つの変異体があることが判りました。
どちらの変異体も西アフリカのサル痘ウイルスに由来しており、病原性は低いと考えられています。
現時点でサル痘の重症度は低いものの、発疹は全身に広がり、時に激しい痛みを伴うことがあります。
今回の調査の対象となった患者は全員が回復の途上、または既に回復しており、死亡した人はいませんでした。
しかし、発疹はもとの皮膚に戻るまでには長時間を要し、瘢痕が残ることもありました。
なお、かさぶたが取れて健康な肌に戻るまで、自宅で隔離生活を送るよう指導されています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症