この世に男女がいる限り。性行為感染症(第1回)

この世に男女がいる限り。性行為感染症

梅毒。それは昔の病気ではありません。

今回は、性行為感染症を取り上げます。
性行為感染症は文字通りSexによって感染する病気です。

一般的には男性と女性の間で感染しますが、最近では同性愛者も多く、同姓間でも感染します。

性行為感染症は英語でsexually transmitted diseases: STDと呼ばれています。

私たち医師の間ではSTDと略して話すことが多いようです。

性行為感染症の代表選手はなんといってもHIV(ヒト免疫不全症候群ウイルス)感染症で、エイズと呼ばれる病気です。

エイズはそれだけを詳しく解説する機会を設けますので、今回はエイズ以外のSTDを取り上げます。

第1回目は梅毒を取り上げます。

梅毒と聞くと皆さん何となく江戸時代や明治時代の病気と思っていませんか。

実は患者さんの数はそのころと比べると、格段に少なくなっていますが、今でもみられる感染症です。

そればかりか、2021年頃から患者さんの数が年々増えてきています。

梅毒は梅毒トレポネーマと呼ばれる微生物が原因となります。

この梅毒トレポネーマは細菌と違って今でも試験管内で育てることができません。

そのため、梅毒の診断には血液検査を行います。

血液検査をして、梅毒の抗体が陽性の時には診断されます。

梅毒は感染してから10~90日間の長い潜伏期間を経てから早期(第1期、第2期)の症状が出てきます。

それから1年以上経ってから、後期の症状が現れ、その後なんと20~30年後に晩期の症状がでるとても気長な病気です。

梅毒にはペニシリンが有効で多くの場合はペニシリンを飲むことによって治すことができます。

ただし、他の感染症と違って、梅毒を治すためには1ケ月間、ペニシリンを飲む必要があります。

次回は、梅毒とともに今問題となっている性行為感染症である淋菌感染症を取り上げます。

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