賢く使おう抗菌薬(第2回)
抗菌薬は決められた用法・用量で。
抗菌薬の2回目は用法・用量について解説します。
用法・用量は薬を飲むときの飲み方に関わる言葉です。
例えば、お医者さんから薬を処方してもらうと、薬局で薬剤師さんからこの薬は1回に2錠を、毎食後1日3回飲んでくださいと言われると思います。
これが、薬の用法・用量のことです。
少し専門的な話になりますが、抗菌薬はその種類によって、時間依存性の薬と用量依存性の薬に分けられます。
時間依存性の薬は、ちゃんと決められた回数で薬を飲まないと効かなくなります。
用量依存性の薬は。1回に飲む量をきちんと守らないと効かなくなります。
例えば、毎食後1日3回飲む薬を、昼ご飯の後は仕事中なので飲まなかった場合、その薬が時間依存性の薬であれば効かないことになります。
また、1回に2錠の薬を飲まなくていけないものを、副作用が心配で、1錠しか飲まなければ、用量依存性の薬は効かなくなります。
抗菌薬は、薬剤師さんに指導されたように正しく飲まないと、いくらいい薬でも効かないことになってしまいます。
もし、仕事が忙しくて、昼ご飯の後の薬が飲めないときは、お医者さんに伝えて、1日1回や2回の用法で効く薬に換えてもらってください。
抗菌薬は多くの薬が、90%以上の優れた効果があります。
でも、それはあくまでも決められた用法・用量を守ってからのことになります。
次回は抗菌薬の副作用にについて解説します。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症