千葉県は30日、成田空港第2ターミナルに勤務する20代の男性が、はしかに感染していたと発表した。感染後も職場で利用客と接する機会があったとして、発疹や発熱などの症状が出た場合は速やかに受診するよう利用客らに注意を呼び掛けた。時事通信 4月30日配信
Q. 麻しん(はしか)はどんな病気ですか?
A. 麻しん(はしか)は麻しんウイルスによる全身性ウイルス感染症です。
麻しんウイルスはヒトを唯一の自然宿主とするウイルスで高熱、鼻汁、咳などの上気道炎症状の後に、発熱3日目頃から頬の粘膜に白色斑点(Koplik班)が出現します。その後、赤褐色の皮疹が顔や体に表れます。
Q. 麻しん(はしか)はどのようして感染するのですか?
A. 麻しん(はしか)は空気感染します。
麻しんウイルスは感染力がとても強く、1人の麻しん患者が免疫のない人に感染させる数は16~21人と言われ、20分程度同じ部屋にいると感染すると言われてます。また、空気感染するため離れていても同じ空気を吸っている人はすべて感染します。また、一般的なマスクは感染予防には全く役に立ちません。
Q. 麻しん(はしか)に感染したかどうかはどのような検査をすれば良いのですか?
A. 抗体価を検査して、陰性の場合はワクチン接種をお勧めします。
麻疹抗体を検査して、NT法で4倍以上、HI法で8倍以上の抗体価があれば、発症する心配はないと思います。もし、それ以下の抗体価であれば、ワクチン接種をお勧めします。また、受診に際しては、麻しん(はしか)の患者さんとの接触歴が明らかな場合には、事前に医療機関に連絡してください。
Q. 麻しん(はしか)はワクチンで予防できますか?
A. 麻しん(はしか)はワクチンで予防することが可能です。
わが国では2006年から風疹ワクチンと混合した麻疹風疹混合(MR)ワクチンの2回定期接種により患者数が激減しました。麻しん(はしか)患者との接触がはっきりしている場合は、72時間以内にワクチンを接種すれば発症が予防され、120時間以内なら重症の合併症が予防できます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症