宇和島保健所管内に住む70代女性が、マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に感染したと発表した。愛媛県によると、県内で確認された感染者は30人目で今年初。女性は21日に救急搬送され、そのまま入院治療中。発熱や嘔吐(おうと)などの症状があるという。2019年4月27日 (土)配信毎日新聞社
Q. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はどんな感染症ですか?
A. マダニが媒介するウイルス感染症です。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニが媒介するウイルス感染症です。原因となるウイルスはSFTSウイルスです。ウイルスを保有するマダニに咬まれることによって感染します。マダニの活動が活発となる春から秋にかけて患者数が増加します。
Q. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ではどのような症状がでますか?
A. 発熱や全身倦怠感に加えて嘔吐、下痢などの症状がでます。
潜伏期間は6~14日間とされ、38℃以上の発熱で発症し、全身倦怠感や嘔吐、下痢などの消化器症状を認めることが多いとされています。重症例では急速に進行して、多臓器不全になって死亡する症例もあります。
Q. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はどのように診断されますか?
A. マダニに咬まれた部位を確認して、抗体検査や遺伝子検査で確定します。
典型的な症例では、マダニに咬まれた部位に痂皮を認めることがあり、その部位の近くのリンパ節が腫大します。血液検査では白血球数や血小板数が減少することが多く、肝機能異常などが認められます。確定診断のためには専門の機関でウイルス遺伝子検査や抗体検査をします。
Q. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の治療法はありますか?
A. 根本的な治療法はなく、対症療法が中心になります。
SFTSウイルスに有効な薬剤はいまだにありません。治療は対症療法と全身管理が中心となります。ただし、マダニの咬傷によるツツガムシ病や日本紅斑熱との鑑別はつかないことが多いため、抗菌薬が投与されます。
Q. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の予防法はなりますか?
A. 最も大切なことはマダニに咬まれないようにすることです。
マダニに咬まれないようにすることが最も大切です。マダニの活動期の春~秋に野山に入る時には、できるだけ肌の露出が少なくなる服装を身に着け、野生動物にはむやみに接触しないようにしてください。また、最近では犬や猫などペットに付着したマダニに咬まれて発症することも報告されていますので、犬や猫などのペットのダニの駆除も獣医さんと相談してきちんと行ってください。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症