海外では少しずつ置き換わりがすすむBA.4とBA.5
海外の感染状況は
オミクロン株派生型であるBA.4系統は2022年1月、BA.5系統は2月にいずれも南アフリカで検出さました。
以降、2022年5月26日までに、BA.4系統は30カ国から2,081件、BA.5系統は31カ国から1,580件が報告されています。
南アフリカからの報告が世界で最も多く、BA.4で約55%、BA.5で約23%を占めています。
南アフリカでは、BA.2系統からの置き換わりが進むと共に、2022年4月から5月にかけて感染者数の増加がみられました。
しかし、5月の中旬をピークに速やかに患者数は減少しています。
米国でもこのオミクロン株派生型への置き換わりとともに患者数が増加しています。
BA.4およびBA.5系統の特徴は
患者血清を調べたところBA.4系統、BA.5系統に対する抗体価はBA.1と比較して2.9倍から3.3倍、BA.2と比較して1.6倍から4.3倍の中和活性が低下していました。
そのため、ワクチンも含めて、免役から逃れて感染しやすくなるのではと考えらています。
重症化しやすいかどうか判断するにはまだ情報が十分ではありません。
ただ、南アフリカでではBA.4系統、BA.5系統が増加して入院者数は増加に転じています。
ただし、欧州においては重症度の上昇につながる徴候は見られていません。
現時点で国内ではBA.4系統、BA.5系統の感染はすこしづつ確認され、今後は置き換わりが進み、感染の主流になると考えられます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症