「大丸別荘」湯の入れ替え年2回、基準値3700倍のレジオネラ属菌…県調査に虚偽説明

今日の新着記事福岡県筑紫野市の老舗旅館「二日市温泉・大丸別荘」が、公衆浴場法に基づく県条例に違反して、浴場の湯の入れ替えを年2回しか実施していなかったことがわかった。県の調査に虚偽の説明もしており、県は同法に基づく罰則の適用を検討している。県によると、昨年8月、レジオネラ症を発症した人の利用施設に同旅館があり、県の調査で基準値の2倍超のレジオネラ属菌が検出された。しかし、旅館側は湯の入れ替えや塩素投入は適正に行っていると説明。10月下旬の自主検査で基準値を下回ったと県に報告した。2023年2月25日配信読売新聞

レジオネラ菌はどんな菌か

レジオネラは英語では’在郷軍人’のことを指します。

1976年に米国のフィラデルフィアのあるホテルで開催された退役軍人による在郷軍人のパーティーで初めてこの病気が起こりました。

このパーティーに参加した人のうち、221人が感染し、うち34人が死亡しました。

早速CDC(米国疾病予防機関)をはじめとして、この謎の集団感染の原因を追究しました。しかし、その原因はすぐには判明しませんでした。

そのため当時は米ソ冷静中で退役軍人を狙った旧ソ連の生物兵器などを噂されました。

それから6ケ月後、CDCのJoseph McDadeとCharles Shepardの2人の研究者によって、この感染症はレジオネラ菌という最近による肺炎であることが証明されました。

ばい菌の仲間たち 赤く染まる菌(グラム陰性菌)(第3回) 最初はソ連の秘密兵器と思われていました。レジオネラ菌 グラム陰性菌の仲間で【続く】

1976年、221人が感染し、うち34人が死亡したレジオネラ肺炎の集団発生が起きたフィラデルフィアのホテル。ここでは、退役軍人たちの在郷軍人協会のパーティーが行われていました。

レジオネラ菌はどのように感染するのか

レジオネラ菌は自然界の湖や河川などの水の中に生息しています。

特に25℃から40℃くらいの暖かい水の中では多くのレジオネラ菌が増えます。

すこしぬるめの温泉の水の中でもレジオネラ菌は増えることができます。

レジオネラ菌を含むごく小さい水滴をヒトが吸入することによって肺に感染が起こり、肺炎を起こします。

フィラデルフィアの集団発生はおそらく空調に用いた冷却水がレジオネラ菌に汚染され、それが、配管を通じて多くの人に感染させたと考えられています。

日本では温泉やお風呂での集団発生の事例が報告されています。

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レジオネラ菌に感染するとどうなるか

レジオネラ菌に感染すると肺炎を起こします。

レジオネラ肺炎の患者さんの胸部レントゲン写真
左右の肺に広い範囲にわたって肺炎が見られます。この患者さんはエリスロマイシンとリファンピシンと呼ばれる特殊な抗生物質を使って治すことができました。

高い熱がでたり、ひどい咳や痰がでたりしています。

重症になると呼吸が苦しくなったり、意識がなくなったりすることもあります。

レジオネラは細菌なので抗生物質が有効です。

しかし、一般に使われるペニシリンなどの抗生物質が効かないため、特別な抗生物質を使う必要があります。

また、塩素消毒でレジオネラ菌の増殖を抑えることができますが、塩素の濃度が薄いと効かないことがあるため、注意が必要です。

ここがポイントレジオネラ菌は温泉やお風呂などの水の中で増えて、その菌を含んだごく小さな水滴を吸い込むことによって肺炎を起こします。温泉やお風呂では定期的に塩素消毒をしてレジオネラ菌の汚染を防いでいます。

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