わずか半年で昨年の患者数を超えています。
国立感染症研究所が6月18日に公表した速報値によると、6月9日まで感染者数は1019人でした。
わずか半年で、昨年の941人を超えています。
国立感染症研究所の報告では患者は例年、50歳以上が7割以上を占めていましたが、昨年7~12月は50歳未満の割合が増えてきています。
また、劇症型溶連菌感染症の患者数は、海外でも増加傾向にあるといわれています。
この患者数の増加の明らかな原因はわかっていません。
症状がみるみる悪化していきます
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は何の病気もない健康な人にも突然発症します。
最初は手や足に突然痛みがでてきます。
痛みはとても強くて、押さえると痛みはますます強くなります。
また、全身症状としては発熱を認めることがありますが、極めて重症の時には逆にショック状態となって体温が低くなることもあります。
痛みのある部分は次第に紫色に変色し、水ぶくれができたりしました。
進行すると、ショック状態になって、意識がなくなったり、錯乱状態になったりします。
治療には抗生物質と集中治療室での管理が必要です
治療には抗生物質と使います。
ペニシリン系の抗生物質が有効ですが、クリンダマイシンという特殊な抗生物質を一緒に使うこともあります。
一部の患者さんには免疫グロブリンが有効なこともあります。
ショック状態になることが多いので、集中治療室で厳重な全身状態の管理が必要です。
また、外科的に感染病巣を切除しないと完全に治らないため、病気の部分を取り除く治療(デブリドマン)を行います。
劇症型溶連菌感染症の治療はできるだけ早く、集中治療室で厳重管理
- 抗生物質 ペニシリン系の抗生物質+クリンダマイシン
- 免疫グロブリン
- 病気の部分の外科的切除(デブリドマン)
- 全身管理(大量の点滴など)
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症