理論的に感染を防ぐ
飛沫感染はどうやっておこるか。それを防ぐには
新型コロナウイルスでも言われている飛沫感染とは
感染予防をするには相手の病原微生物がどうやってヒトに感染するか、その方法を知ることが大事ですと前回お話ししました。
では、いま日本中で問題となっている新型コロナウイルスはどんなふうに感染するのでしょうか。
実は、まだはっきりとわかっていないところもありますが、基本的な感染経路は飛沫感染と考えられています。
飛沫感染はどうやっておこるか
飛沫感染は原因微生物がヒトの口や目や鼻の粘膜に直接付着して感染します。
普通に話をしたり、歌ったり、咳をしたり、くしゃみをしたりして感染します。
病原微生物は小さな粒子となって、1m以内の近いところに飛んでいきます。
面白い話として英語ではf, p, t, sなどの子音を発声する方がより多くの粒子が飛沫するとされています。
そして、これらの子音はヒトを罵る言葉に多く使われているそうです。
残念ながら日本語ではどんな言葉で飛沫が多いか研究されていません。
飛沫感染を防ぐには
飛沫感染を防ぐ最も簡単方法は離れることです。
病原微生物をもっているヒトから2m以上離れれば、飛沫感染を防ぐことができます。
そのため、今回の新型コロナウイルスに感染しないためにも人ごみを避けることが効果的です。
もちろん、マスクをつけることも口や鼻からの飛沫を防ぐことはできますが、残念ながら眼鏡をかけていない時には、眼の粘膜から感染します。
それともう一つは病原微生物が周りのいろんなところにくっ付いて、それを触ることによって感染することがあります。
鼻を癖でよく触るヒトは手についた病原微生物が、鼻の粘膜から感染することが考えられます。
そのため、とくに多くの人が触る場所を手で触れた時には、こまめに手の消毒をすることがとても大切です。
次回はその手洗いについてお話しします。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症