新型コロナウイルス感染症。基本的なことを抑えましょう(最終回)
新型コロナウイルスの感染対策を考える。これまでとは違う対策も
新型コロナウイルスに関する話題を2ケ月にわたって解説してきました。
最終回の今回は新型コロナウイルスの感染対策について解説します。
新型コロナウイルスの感染はいわゆる飛沫感染と接触感染によっておきます。
その中でも、飛沫感染の考え方がこれまでとは少し違ってきています。
飛沫感染というとこれまではインフルエンザウイルスの感染が代表的でした。
咳やくしゃみなどの分泌物に混じったウイルスが、目や鼻の粘膜から侵入して感染するとされていました。
実際に、インフルエンザウイルスは咳やくしゃみなどの症状がでてから、人の体の中でウイルスが増えいていきます。
そのため、咳やくしゃみなどの飛沫を防ぐことによって感染を防ぐことができました。
ところが、今回の新型コロナウイルスは症状がでる前にウイルスが増えることが特徴的です。
そのため、症状がないときの普通のおしゃべりでも感染してしまうことがあります。
また、若い人では約2割の人に感染しても何の症状もでないと言われています。
そのなれば、感染しているかどうかわからない人が大きな声でおしゃべりをするだけで飛沫感染が起きてしまいます。
飛沫感染を防ぐにはマスクが重要なことはわかっていますし、新型コロナウイルスでもそれは変わりありません。
しかし、マスクをするタイミングがこれまでの飛沫感染とは大きく違っています。
結論から言うと新型コロナウイルスでは、常にマスクを着用していないと感染対策にならないということです。
電車に乗るときは当然ですが、会社で働いている時も、さらには自宅にいるときも家族と一緒に暮らすならマスクをつけなければならないということです。
ただし、食事の際にはどうしてもマスクを外してしまいます。
そのため、新型コロナウイルスは飲食の機会に感染する危険性が高いため、飲食店へのさまざまな規制が行われています。
もうしばらく、ワクチンが広く行き渡るようになるまでは、いつもマスクを身に着けることを心がけてください。
今回で新型コロナウイルスに関する感染症の小部屋をおしまいにします。
また、新しいことがわかってきた時には随時解説することとします。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症