今日の新着記事世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症を「パンデミック(世界的大流行)」と認定してから1年が経過したが、収束に向けた見通しは不透明なままだ。ワクチンも、世界中に普及するには年単位の時間が必要とみられるため、WHOはワクチンに依存するのではなく、感染症への地道な対策の継続が肝要としている。2021年03月11日配信 共同通信社
サラリーマン
ワクチンができましたが、収束はまだですか?
世界レベルでみるとまだ時間がかかります。
前崎 先生
WHOが昨年に世界の人々の健康にかかわる緊急事態宣言を出しました。
それから約1年が経ちますが、新型コロナウイルス感染症は収束する兆しがみえません。
日本も含め、先進国ではワクチンの接種が始まっていますが、世界レベルでみるとほんの一握りの人にすぎません。
サラリーマン
世界中の人にワクチンが接種されるにはどれくらいの時間がかかりますか?
はっきりは言えませんが、これから数年はかかると思います。
前崎 先生
新型コロナウイルスのワクチンは感染を防ぐ効果も、重症化を防ぐ効果も高いと考えられています。
しかし、そもそも世界中のすべての人に接種するワクチンなどはこれまでありませんでした。
ある一部の地域の人を対象としかワクチンの生産体制では到底間に合いません。
そのため、今からその体制を準備しても、実際にワクチンが作られるまでは、かなりの時間がかかります。
サラリーマン
ワクチンができれば、どの国でも接種できますか?
それぞれの国の医療体制によっては難しい国もあります。
前崎 先生
たとえ、世界中のすべての人にワクチンが行き渡っても、それを接種する医療体制が必要です。
開発途上国には十分な病院や、医師や看護師などの医療従事者がいない国が多くあります。
そのため、そのように国の人々にワクチンを接種するには、他の多くの国が援助する仕組みが必要となります。
ここがポイント新型コロナウイルスに有効なワクチンの接種が始まりましたが、世界中のすべての人々にワクチンが行き渡るには数年の時間がかかります。それまでは、新型コロナウイルスの感染が続き、収束にはまだ時間がかかると思われます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症