過去2年間の日本のインフルエンザは激減していました。
過去2年間の日本におけるインフルエンザの流行状況を振り返ってみます。
国立感染症研究所から11月25日に公表された資料をもとに解説します。
インフルエンザの流行状況は感染症発生動向調査として、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関(小児科約3,000, 内科約2,000)から毎週, インフルエンザ患者数が報告さています。
その指標として1週間の定点医療機関当たりの患者数が1.00を超えると流行が始まったと考えられています。
2021/2022年のシーズンでは定点当たり0.038人/週が最大で、流行は起こらなかったと考えられます。
また、全国の医療機関を受診した累計患者数は、2021/2022年のシーズンは約0.3万人と考えられ、コロナ以前の2年前の728.9万人を大きく下回りました。
また、入院患者数も44人で、2年前の278人から大きく減少しています。
さらに子どもで重症化しやすいインフルエンザ脳症の報告数も僅かに1例ででした。
2022/2023年のインフルエンザの流行状況はどうなるか
では、2022年の年末から来年の2023年の年明けのインフルエンザ:の流行状況はどうなるのでしょうか。
これから先は予測になりますが、直近の状況を見てみます。
厚生労働省から公表されている貯金の定点当たりの1週間の報告数を見てみると11月21日からの週では0.11となっています。
Microsoft-Word-1★プレス47週表紙(HP)これは流行の始まりである1.00にはまだ及びませんが、昨年の同じ週の報告数が0.01であり、約10倍になっています。
さらに10月24日の週から毎週少しずつではありますが、増加してきています。
また、学校における学級閉鎖や学年閉鎖数が少しずつ増えてきていることも心配の一つです。
新型コロナウイルス感染症が流行した過去2年間はインフルエンザの流行は全くなかったと言ってもいいと思います。
しかし、今年の年末の感染状況を見ると明らかにこの2年間とは違った様子に見えます。
新型コロナウイルス感染症の第8波もいまだ収束しない状況でのインフルエンザの流行には注意が必要です。
米国の状況からもその懸念がさらに強く感じられます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症