トライアスロン大会後に体調不良者続出、英保健当局が発表

今日の新着記事前週行われた世界トライアスロンシリーズ(World Triathlon Championship Series)の英サンダーランド(Sunderland)大会で、少なくとも57人の選手がスイム後に下痢や嘔吐の症状に見舞われていたことが分かった。英国健康安全保障庁(UKHSA)が6日、発表した。英環境庁(Environment Agency)が、大会数日前の7月末にローカービーチで実施した定期調査では、高レベルの大腸菌が検出されたが、結果は大会後まで公表されていなかった。2023年08月08日AFPBB News

大腸菌の中でも注意が必要な腸管出血性大腸菌

大腸菌は健康なヒトの腸の中に生息している細菌です。

一般的な大腸菌は病気を起こすことはありませんが、その中でも腸管出血性大腸菌はヒトに病気を起ここすことがあります。

腸管出血性大腸菌はベロ毒素と呼ばれるものを産生することによってヒトに病気を起こします。

腸管出血性大腸菌に感染すると無症状から軽症例もありますが、時に死亡することもあります。

なかでも腸管出血性大腸菌が感染した後に溶血性尿毒症症候群を発症すると死亡することがあります。

腸管出血性大腸菌は食品から集団感染します

1982 年に米国でハンバーガーを原因とする出血性大腸炎が集団発生し、その原因が腸管出血性大腸菌O157 でした。

その後北米、欧州、オーストラリアなどでも集団発生が相次いで発生しました。

我が国では、1990 年埼玉県浦和市の幼稚園で井戸水を原因としたO157 集団感染が発生し、園児2 名が死亡しました。

その後、1996 年に爆発的な患者数の増加があり、5月に岡山県に始まった集団発生から、7月には大阪府堺市での患者5,591名に上る集団発生となりました。

その主な原因は給食あるいは仕出し弁当と考えられています。

1997年以降、集団事例の報告数は減りましたが、散発事例における患者数はほぼ横ばい状態で年間千数百 人の患者が発生しています。

発生時期は、7月、8月の夏に多くみられますが、冬にみられることもあります。

腸管出血性大腸菌は夏に多く発生しますが、現在では食品の複雑な流通経路を反映して冬に発生することもあります。(IDWR 2002年第6号掲載)

便に血が混じったり、血便がでたりします

腸管出血性大腸菌に汚染された食品を食べることによって感染します。

ほんの50個ほどの菌でも感染するといわれており、感染力が強いとされています。

感染すると下痢や腹痛などお腹の症状がでてきます。

発熱することは少なく、熱がでても微熱程度です。

その後、腹痛がさらに激しくなり、便に血液が混じることがあります。

さらに進行すると便はほとんど血液だけの血便が出てきます。

腸管出血性大腸菌感染症の重症例では便がほとんど血液成分となった血便がみられることがあります。(IDWR 2002年第6号掲載)

発症から数日から2週間程度で溶血性尿毒症症候群を合併したり、神経症状を伴う脳症を発症したりすると死亡することがあります。

ここがポイント大腸菌はヒトの腸の中にいる菌ですが、ベロ毒素を持っている腸管出血性大腸菌は病気を起こすことがあります。菌で汚染された水や食品を口から摂取して感染します。

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