蚊に刺されて痒いだけならいいのですが。
大都会でも注意。蚊に刺されておこる感染症
お盆休みでボーとしていて、毎週水曜日に掲載していた連載が遅れてしましました。
仕事がら出版社の人とお付き合いすることもありますが、編集者にとっての悩みのたねは、やはり原稿をもらうまでと聞いたことがあります。
その方の話では、作家さん(おそらくは偉いお医者さん)のご自宅まで足を運んで、原稿が出来上がるまで、じっと待っているそうです。
自慢しても仕方ないのですが、私自身は原稿を書き上げるのは早いほうで、締め切りまで遅れたことはほとんどありません。
さて、今回も蚊から感染する病気の話ですが、その病気はウエストナイル熱です。
ウエストナイル熱は読んで字のごとく、最初はアフリカのナイル川のそばで発見されたウイルス感染症です。
実際に、1950年代から2000年までは中東、欧州、アフリカなどで流行が見られていました。
このウエストナイル熱が、2000年以降は米国で流行しているのです。
最近では2012年に流行があり、確かその年にニューヨークに行って記憶があり、ホテルのドアに何となく不気味な蚊の絵が描かれた札が付けてあったことを覚えています。
このウエストナイルウイルスは、日本で夏場にみられる日本脳炎ウイルスと同じ仲間のウイルスです。
日本脳炎ウイルスは予防接種によって、患者数が激減しましたが、残念ながらウエストナイルウイルスには今でも有効なワクチンはありません。
マラリアやデング熱など蚊に刺されて起こる感染症は、開発途上国の病気と思われがちですが、大都会でも起こる感染症もあります。
ニューヨークのホテルに泊まるときも蚊の活動する季節では、虫よけスプレーを持参したほうがいいかもしれません。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症