肺炎のお話し(第1回)

寒い季節に増える肺炎に注意しましょう。

肺炎は老人の友

一年の中で一番寒い季節になりました。

今月は4回に分けて肺炎のお話しをします。

肺炎は感染症の中でも最もポピュラーな病気で、呼吸器の病気の中でも喘息や肺がんと並んで患者さんが多い病気です。

毎年、厚生労働省から日本人の死亡原因の集計が報告されます。肺炎で亡くなる人は1950年代から急激に少なくなってきました。

これはまさにペニシリンをはじめとした抗生物質が開発され、肺炎の治療に使われるようになったからでした。

しかし、1980年代から肺炎で亡くなる人の数が少しづつですが、年々増えてきました。

これまで、日本人の死亡原因は、悪性腫瘍(癌)、心臓の病気、脳血管疾患が3大疾患でしたが、2015年にとうとう肺炎で亡くなる人の数が脳血管疾患を上回り、第3位になってしまいました。

その理由は、日本人の高齢化が原因と考えられています。

かつて有名な臨床医であったウイリアム・オスラーは「肺炎は老人の友である」と語っています。

本来であれば、肺炎は人の命を奪う病気で、むしろ「敵」であるのにオスラーはなぜ「友」と表現したのでしょう。

それは、肺炎は老人を安らかな死へ導いてくれる病気で決して敵ではなく、むしろ友であると言いたかったのかもしれません。

実際に肺炎で亡くなる人のなんと96%は65歳以上の高齢者で、80歳以上になるとその数はとても多くなります。

もちろん、オスラーが存命した100年前の世の中と違って現在では、多くの抗生物質が開発され、肺炎は治療できる病気になりました。

それでも、やはり今でも肺炎は老人の友であり続けるのです。

次回は肺炎を起こす原因として最も多い、読んで字のごとく「肺炎球菌」に関わるお話しをします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする