今日の新着記事新型コロナウイルスによる感染症の予防ワクチンについて政府の分科会は21日、新型コロナ患者の治療にあたる医療従事者や高齢者、持病がある人に優先的に接種することで合意した。分科会の意見を踏まえ、最終的に政府が方針を決める。2020年08月21日 配信 朝日新聞
サラリーマン
ワクチン接種になぜ優先順位が必要ですか?
最初は、十分な量のワクチンがなので必要なヒトから接種するためです。
前崎 先生
新型コロナウイルス感染症のワクチンはいまだに完成していません。
もし、有効なワクチンが開発されたとしても、最初のうちは十分な量を作ることができません。
そのため、誰から先にワクチンを接種するかあらかじめ決める必要があります。
サラリーマン
優先順位はどうやって決めるのですか?
これまでの感染状況をみながら、必要なヒトを決めていきます。
前崎 先生
これまでの感染状況をみて、重症化しやすいヒトや、死亡しやすいヒトの集団から優先してワクチンを接種します。
もちろん、新型コロナウイルス感染症の治療にあたる医療従事者がもし感染すると医療行為ができなくなるので、優先的にワクチンを接種します。
子供や妊婦などは重症したり、死亡することが少ないので、優先順位が低くなります。
サラリーマン
これまでにこのようにワクチン接種の優先順位を決めたことはありますか?
2009年の新型インフルエンザの時に優先順位を決めたことがあります。
前崎 先生
2009年の新型インフルエンザの流行の時に外国から買った輸入ワクチンを接種する優先順位をきめたことがあります。
しかし、その時は輸入ワクチンを実際に使う時には流行が終息してワクチンの接種は行われませんでした。
今回の新型コロナウイルス感染症では、おそらく輸入されたワクチンを接種することになると思いますので、限られたワクチンを誰から接種するか決めておく必要があります。
ここがポイント新型コロナウイルス感染症のワクチンは最初は数が限られますので、優先順位をつけて接種されることになります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症