この世に男女がいる限り。性行為感染症
繰り返す厄介な性行為感染症です。性器ヘルペス
最終回の今回はウイルスによる性行為感染症である性器ヘルペスを取り上げます。
性器ヘルペスの患者数はわが国では横ばいですが、米国では毎年患者数が増えており、深刻な性行為感染症になっています。
原因となるウイルスは単純ヘルペスウイルスの1型または2型です。
性器の皮膚や粘膜から感染して、性器に皮膚のただれや小さな水ぶくれができます。
この単純ヘルペスウイルスは、まず初めに感染(初感染)して病気を起こした後に、感覚神経節と呼ばれる神経に潜伏します。
その潜伏したウイルスがストレスや過労やほかの病気などが原因で、抵抗力が落ちてしまうと再発して、また同じような症状が出ます。
2型の単純ヘルペスウイルスが1型より再発多いと言われ、多い時には1ケ月に数回再発することもあります。
おりものや精液の中にウイルスが存在するだけで、症状が全くでないこともあり、このようなヒトからSexによって病気が広がってしまいます。
ただし、性器ヘルペスには有効な抗ウイルス薬がいくつかあります。
すぐに病院に受診して、薬をきちんと飲めば治すことができます。
また、再発を防ぐために、1日1回、このようなお薬を1年間毎日飲み続ける治療法もあります。
性器ヘルペスは再発を繰り返す厄介な性行為感染症ですが、きちんと薬を飲めば治すことができるので、早めにお医者さんに相談してください。
これまで、4回に分けて性行為感染症を取り上げてきましたが、大切なことはあなたの大切なパートナーも同時に治療することです。
そうしないと、性行為感染症は1晩のうちにみるみる拡がってしまいます。
次回からは少し趣を変えて、個別の菌、ウイルス、カビ、寄生虫の解説をします。
ご期待ください。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症