新型コロナウイルス感染症。基本的なことを抑えましょう(第4回)
流行語大賞にもなりました。 PCR法
新型コロナウイルス感染症の基本的なことの第4回目は、検査法について解説します。
PCR法と言う言葉はほんとに毎日のように聞かれるようになりました。
このPCR法とは、ほんのわずかな遺伝子をある方法によって増やしてやることによって、その遺伝子の存在を見つける方法です。
感染症の検査はその原因となる微生物がそこに存在することを証明して診断します。
コロナウイルスのようなウイルスは、その遺伝子が存在することを証明することによって診断します。
コロナウイルスは鼻の粘膜や、口の中にいますから、これらの検体を使って検査をします。
このPCR法以外にも抗原や抗体の検査があります。
抗原の検査はコロナウイルスのある一部のタンパク質がそこに存在するかどうかを検査する方法です。
インフルエンザの検査でよく使われますが、陽性になると青い線が見えるようになります。
この検査は時間があまりかからないで、簡単にできる検査なので、外来にきた患者さんの診断に使います。
ただし、コロナウイルスに感染していないのに、検査結果が陽性となることがあり、これを偽陽性と呼んでいます。
もう一つの検査が抗体の検査です。
コロナウイルスに感染すると、私たちの体の中にそれに対する抗体が作られます。
その抗体があるか、ないかを血液で調べることができます。
この検査が陽性となった人は、これまでにコロナウイルスに感染したことがあると言えます。
これによって、どれくらいの人がすでに感染したことがあるかどうかがわかります。
このような検査法で、新型コロナウイルス感染症の診断や疫学的な調査が行われています。
次回は、新型コロナウイルスに感染した時にどんな症状がでるかについて解説します。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症