肺炎のお話し(第2回)

寒い季節に増える肺炎に注意しましょう。

読んで字のごとく肺炎球菌

肺炎は何らかの微生物が肺に侵入して起きる病気です。

肺炎の原因となる微生物はさまざまですが、世界中のどこの医師が研究しても、肺炎の原因で一番は肺炎球菌です。

肺炎球菌は読んで字のごとく肺炎を起こす丸い菌ということです。

細菌はグラム染色と呼ばれる特殊な染色液を使うと、青く染まる菌と赤く染まる菌に分かれます。

肺炎球菌は青く染まった丸い菌が2個並んで見えることから、以前は肺炎双球菌ともよばれていました。

この肺炎球菌が肺炎の原因としては一番多い微生物です。

なかでも高齢者の肺炎は肺炎球菌が原因となることが多く、治療に使う抗生物質はこの菌に有効なお薬を使います。

もともと、肺炎球菌にはペニシリンをはじめ、多くの種類の抗生物質が有効でした。

しかし、最近では、これらの抗生物質が肺炎球菌に効きにくくなってきています。

先月、お話ししました薬剤耐性がこの肺炎球菌にも起こっているのです。

ペニシリンが効きにくくなった肺炎球菌は今から20年ほど前は、ほとんど見かけませんでしたが、それ以降は年々少しずつ増えてきました。

2010年ころが最も多くなりましたが、最近では抗生物質の適正な使用に伴って少しずつ少なくなりつつあります。

しかし、もう一つの代表的な抗生物質であるマクロライド系薬には,
今ではほとんどの肺炎球菌が薬剤耐性となっています。

また、肺炎球菌は予防接種で防ぐことができる肺炎です。

数年前より、65歳以上の高齢者では予防接種の費用の一部を国が補助する制度が始まりました。

また、肺炎球菌は子供では髄膜炎やその他の全身の感染症の原因として多い菌です。

そのため、子供でも肺炎球菌ワクチンの接種が行われています。

このように、肺炎の原因として最も多い肺炎球菌は適切に予防し、適切に治療することができるようになっています。

次回は若者に多い肺炎としてマイコプラズマを取り上げます。

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