オミクロン株の亜系統は次々と
現在、世界中で感染している新型コロナウイルスの99.9%はオミクロン株と言われています。
その亜系統としては、BA.5が76.2%、BA.4が7.0%、BA.2が3.9%とわが国と同じくBA.5が多くを占めています。
しかし、このオミクロン株の亜系統が次々と報告され、いくつかの国ではこの亜系統株の流行が起こっています。
今回は、この亜系統株の中でも代表的なものをいくつか取り上げてみます。
BA.2.75系統
・報告 2022年6月
・発生国 インド
・世界の状況 59か国から15,817件(10月10日時点)
・日本の状況 検疫で129件、国内で137件(10月17日時点)
・特徴 BA.2系統と比較して中和抗体からの逃避能が上昇している?
では、現在のインドの状況はどうでしょうか
インドの新型コロナウイルスの発生状況を見てみるとBA.2.75が報告された2022年のお6月には発生数の増加がみられていますが、その後は減少傾向に転じています。
BA.4.6系統
・報告 2022年5月
・発生国 米国
・世界の状況 9か国から36,818件 (10月10日時点)
・日本の状況 検疫で12件、国内で136件 (10月17日時点)
・特徴 BA.4系統と比較して中和抗体からの逃避能が上昇している?
では、現在の米国の状況はどうでしょうか。
米国では6月以降感染者数の増加とともにBA.4.6系統の割合が上昇したが、8月以降感染者数は減少し、BA.4.6系統の割合はおおむね横ばいとなっている。
XBB系統
・報告 2022年9月
・発生国 シンガポール
・世界の状況 21か国から562件 (10月10日時点)
・日本の状況 検疫で7件、国内で0件 (10月17日時点)
・特徴 中和抗体からの逃避能が上昇しているが重症者数の増加は見られていない?
では、現在のシンガポールの状況はどうでしょうか。
シンガポールにおいては、9月末より感染者数が増加傾向を示しているが、その後減少傾向に転じている。
このように世界中でオミクロン株の亜系統株が報告されているが、中和抗体から逃れやすいか、また重症化しやすいかなどはいまだ不明です。
しかし、オミクロン株にかわりはないので、現在のオミクロン株対応の2価ワクチンはある程度有効と思われます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症