6月にはポーランドでも猫が鳥インフルエンザに感染
2023年6月27日、ポーランド共和国の国際保健規則(IHR)に基づく国の連絡窓口(NFP)はWHOに対し、ポーランド国内においてネコの異常死事例が発生していると報告しました。
7月11日現在、46頭のネコと捕獲された1頭のカラカル(caracal)から合計47検体が検査され、そのうち29検体はインフルエンザA(H5N1)が陽性でした。
ネコのウイルスへの曝露源は現在のところ不明であり、動物における流行調査が進められています。
感染源にはいくつかの可能性があり、感染した鳥やその環境と直接あるいは間接的に接触した可能性や感染した鳥あるいはウイルスに汚染された餌を食べた可能性などが考えられます。
現在までのところ、ポーランドではネコと飼い主が濃厚に接触する可能性があるにもかかわらず、感染したネコがヒトに接触して症状が出たという報告はありません。
高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)の鳥以外の動物での感染は
高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)は1997年に初めて香港で生鳥市場を介したヒト感染例の報告があります。
高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)のヒト感染例は2023年3月3日時点で少なくとも873例がWHOに報告されていますが、ほとんどは2019年以前の報告です。
鳥以外の哺乳類での発生はクマ、ヤマネコ、コヨーテ、イルカ、フェレット、キツネ、ミンク、オポッサム、カワウソ、ブタ、イタチ、アライグマ、タヌキ、アシカ等の哺乳類において報告されています。
これまでの鳥以外の哺乳動物での高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)の発生状況
- 2022年に米国における100頭以上のアザラシ(Seal, Harbor seal, Grey seal)の感染
- 2022年にスペインにおける数百頭のミンク(American mink)の感染
- 2023年にペルーにおける600頭を超えるアシカ(Sea lion)の感染
など2022/2023シーズンには哺乳類での大規模感染事例が報告され、哺乳類間での伝播が起きている可能性が懸念されています。
高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)の日本国内の発生状況は
2022年4月に北海道札幌市において、キタキツネ(アカギツネ)やタヌキでの高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例が国内で初めて確認されました。
周辺地域ではハシブトカラスの周辺地域ではハシブトカラスの高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例が続発しており、感染したカラスを食べたキタキツネ(アカギツネ)やタヌキが感染したと思われています。
なお、日本国内ではこれまでに高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)を含め、鳥インフルエンザウイルスに感染して発症したヒト感染事例は確認されていません。

埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症