インフルエンザはへマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の組み合わせでいくつかの亜型があります
インフルエンザウイルスはウイルスの表面にへマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれるタンパク質をもっています。
2この2つのタンパク質の組み合わせによってインフルエンザウイルスの亜型が決まります。
その中で、これまでにみられなかった組み合わせの亜型が新型インフルエンザウイルスになります。
ちなみに2009年の新型インフルエンザの亜型はH1N1となっています。
インフルエンザウイルスはA、B、Cの3つの型があります
亜型による分類に加えてインフルエンザウイルスはA、B、Cの3つの型があります。
その中でB、C型はヒトのみ感染しますが、A型はヒト以外の様々な動物に感染します。
多くは鶏やかもなどの鳥類ですが、その他にも豚やミンク、さらにクジラなどにも感染します。
12鳥インフルエンザが鳥以外の多くの動物に感染すると遺伝子変異を起こして新型インフルエンザが発生しやすくなります。
鳥とブタの間で起きるインフルエンザウイルスの遺伝子の変異
このような遺伝子変異の中でも最も可能性が高いものが、鳥とブタの間に起こる遺伝子変異と考えられています。
これには2つの可能性があり、ヒトのインフルエンザと鳥のインフルエンザが同時にブタに感染し、そこで遺伝子変異を起こします。
もう一つは鳥のインフルエンザがブタに感染して、ブタの中で遺伝子変異を起こします。
14そのようにして、本来はヒトに感染しない鳥のインフルエンザがヒトに感染するようになります。
では、鳥のインフルエンザの変異を防ぐには
鳥のインフルエンザが遺伝子変異を起こしてヒトに感染する新型インフルエンザの出現を防ぐには
- 鳥との密接な接触を避ける。
- 鳥インフルエンザが疑われる鳥の発見や報告を行う。
- 鳥インフルエンザウイルスの環境中への放出を最小限に抑えるため、衛生対策を行う。
ことなどが必要です。また、鳥以外でも鳥のインフルエンザが感染した動物には同様の対策をする必要があります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症