理論的に感染を防ぐ
マスクをつけるときの注意点
マスクは自分を守るものではありません。
街中ではほとんどの人がマスクを着用しています。
ここで、改めてマスクの役目を考えてみます。
マスクは自分を感染から守るものではなくて、ほかの人にその感染の原因となる微生物を感染させないようにするものです。
最初に感染症には感染する方法があることをお話ししましたが、マスクはその中でも飛沫感染と呼ばれる感染の方法を防ぐことに効果的な道具です。
飛沫感染は話をしたり、歌ったり、咳やくしゃみをしたりすることで感染します。
この飛沫が飛び散る距離がマスクをしているとかなり短くなります。
つまり、周りの人に感染かせるリスクが少なくなるということです。
マスクにはどんな種類がありますか?
マスクと一口に言っても、その性能によってさまざまです。
一般的に病院などで使われているマスクはサージカルマスクと呼ばれているもので、皆さんが付けているマスクと同じようなものです。
ただし、病院ではさらに高性能(より小さな微生物もシャットアウト)するマスクが使われることがあります。
このマスクはN95マスクと呼ばれるもので、空気中に浮遊するより小さな微生物からの感染を防ぐことができます。
マスクも正しく使わなければ逆効果です。
実は、マスクも正しく使わなければ、逆に感染してしまうことがあります。
特にマスクを外すときが大切になります。
マスクの表面には多くの人の飛沫から飛び散ったウイルスなどがたくさん付着しています。
そのウイルスを手で触って、その手に付いたウイルスが感染する危険性があります。
今は、マスクが品切れ状態で、どこでも売っていませんが、もし、マスクが十分に使えるときはこまめに交換することが大切です。
さらに、マスクを外す時にはマスクの表面には触れずに、ごみ箱に捨ててください。
それから外した後はちゃんと手を洗ってください。
感染予防は正しく実践しないと効果がないばかりか、逆効果になることもあるの注意が必要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症