静岡県は17日、藤枝市のスーパー内にある総菜店の弁当などを食べた20~89歳の男女14人が、病原性大腸菌O157に感染したと発表した。うち12人は入院したが、いずれも命に別条はないという。中部保健所は食中毒と断定し、食品衛生法に基づき当分の間、同店に営業禁止を命じた。2019年6月19日 (水)配信毎日新聞社
腸管出血性大腸菌はどんな菌ですか ?
ベロ毒素を産生する大腸菌です。
大腸菌は私たちの腸の中にいる菌ですが、その中でベロ毒素を作る菌を腸管出血性大腸菌を呼びます。そのような大腸菌は血清型によって分けられています。血清型では、O157、O1、O26、O104、O111、O145などがよく知られています。ベロ毒素にもベロ毒素1と2があった、菌によってはどちらか一方、または両方を作る菌がいます。
腸管出血性大腸菌はどのようにして感染するのですか?
多くは菌に汚染された食物を食べて感染します。
腸管出血性大腸菌は、その菌で汚染された食物もたべることによって、口から感染します。感染力がとても強く、100個程度の少ない菌でも感染するとされています。そのため、多くの場合は汚染された同じ食物を食べた人で広がり、食中毒など集団発生します。
腸管出血性大腸菌に感染するとどんな症状がでますか?
お腹の痛みと下痢が主な症状で、下痢に血液が混じることが多くあります。
お腹が痛くなり、水のような下痢がでます。その後、下痢に血液が混じるようになり、さらにお腹が痛くなります。ひどくなると、我慢できないお腹の痛みと、ほとんど血液のような下痢がでてきます。
腸管出血性大腸菌に感染して死亡することはありますか?
溶血性尿毒症症候群を合併すると死亡することもあります。
お腹の痛みや下痢の3~7日後に溶血性尿毒症症候群を合併することがあります。その頻度は、0~4歳が一番多く7.2%であるとの報告もあります。合併症がなければ、ちゃんと治りますが、溶血性尿毒症症候群を合併すると死亡することもあります。
腸管出血性大腸菌に感染しないためにはどうすれば良いのですか?
こまめに手洗いをすることが最も大切です。
腸管出血性大腸菌に感染しないためには、こまめに手洗いをすることが大切です。特に食事の前や、お手洗いの後などには丁寧に手洗いをしてください。また、腸管出血性大腸菌に汚染された食物や環境に触る時には、手袋をつけて、さらに手袋を外した後に丁寧に手洗いをしてください。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症