今日の新着記事 厚生労働省は24日、新型コロナウイルスの抗体カクテル療法で使われている点滴薬「ロナプリーブ」について、オミクロン株に感染、または感染の可能性が高い患者への投与を推奨しないことを決めた。製造販売する企業の分析で、オミクロン株への効果が著しく低下するとのデータが出たのが理由。2021年12月27日配信 共同通信社
お母さん
ロナプリーブはどんな薬ですか?
新型コロナウイルスに対する2種類の抗体でできた薬です。
前崎 先生
ロナプリーブは新型コロナウイルスに対する抗体を使った薬です。
遺伝子組み換えによって人工的に作られたカシリミマブとイムデビマブと呼ばれる2種類の抗体です。
この抗体を注射することによって、新型コロナウイルスの増殖を抑える働きをします。
お母さん
なぜロナプリーブはなオミクロン株に効果が低いのですか?
オミクロン株はスパイクタンパクが大きく変化しているからです。
前崎 先生
オミクロン株ではスパイクタンパクを作る遺伝子が多く変化しています。
そのため、抗体がくっ付くスパイクタンパクの形が大きく変わってしまいました。
結果として、オミクロン株ではロナプリーブの効果が低くなると考えられています。
お母さん
モノクロナール抗体のソトロビマブも効果が低くなりますか?
この抗体はスパイクタンパク以外にくっ付くので効果は低くなりません。
前崎 先生
もう一つの抗体の薬がモノクロナール抗体のソトロビマブです。
この抗体はスパイクタンパク以外の部分にくっ付く抗体とされています。
そのため、スパイクタンパクが大きく変化したオミクロン株にも有効と考えられています。
ここがポイントスパイクタンパクにくっ付く抗体製剤のロナプリーブは、スパイクタンパクが大きく変化したオミクロン株では効果が低くなることが懸念されています。そのため治療にはソトロビマブや飲み薬を使うべきと考えれれています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症