宮崎県は10日、幼児を中心に6、7月ごろ流行する「手足口病」が流行警報レベルを超えたと発表した。感染症対策室によると、4月22~28日の1週間、県内35の定点医療機関から249件の報告があった。前週から1.9倍増加し、1医療機関当たり7.11件で警報レベル基準値を超えた。年齢別で1歳が6割を占めた。2019年5月13日 (月)配信宮崎日日新聞
Q. 手足口病はどのような感染症ですか?
A. コクサッキーウイルスA16またはエンテロウイルス71によるウイルス感染症です。
毎年、夏に流行するウイルス感染症です。5歳未満の小児に主に流行します。年間の患者数は180万人程度と大変多い感染症です。流行の規模は年によって違い、流行する年とそうではない年があります。
Q. 手足口病はどんな症状がでますか?
A. 典型的な症状は口の中、手のひら、足の底に小さな水ぶくれができます。
典型的な例では、4~6日間の潜伏期間の後に、発熱や体のだるさで始まり、その後、口の中、手のひら、足の底に小さな水ぶくれができます。水ぶくれはだんだん大きくなって、皮が破けます。普通は1週間くらいで自然に治ってしまいます。
Q. 手足口病では合併症が起こることもありますか?
A. エンテロウイルス71が感染したときは、中枢神経系の合併症がおこることがあります。
エンテロウイルス71が感染した時には、髄膜炎や小脳失調症などの合併症が起きますが、たいへんまれです。もし、手足口病の症状に麻痺や歩くときに障害が出たりした際には、中枢神経系の合併症に注意が必要です。
Q. 手足口病はどのように感染しますか?
A. 便の中のウイルスが口から侵入したり、水ぶくれを直接触って感染します。
手足口病は感染力がとても強く、患者さんの便の中にいるウイルスが手について、食べ物と一緒に口から侵入する場合や、水ぶくれが破けて、その中のウイルスが手について、同じように口から感染することがあります。便の中には2~4週間はウイルスがいるとの報告もありますから、症状がよくなってもしばらくは手洗いをしっかりすることが大切になります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症