イベルメクチンはどんな薬か
イベルメクチンは寄生虫の増殖を阻害する薬です。
イベルメクチンは寄生虫の神経細胞に作用して、寄生虫を麻痺させて死滅させます。
この神経細胞はヒトなどの哺乳類にはないため、ヒトに対しては副作用などがでる心配もありません。
寄生虫の病気の中で、腸管糞線虫症と疥癬という病気に対して効果があります。
イベルメクチンは錠剤として、1回に3~5錠を水と一緒に飲みます。
副作用としては肝機能に異常がでたり、血小板が少なくなったりします。
また、意識障害がでることがあるので、車の運転には注意が必要です。
イベルメクチンは新型コロナウイルスには効果がありませんでした
イベルメクチンはその作用機序から様々な微生物にも効果があると考えられてきました。
試験管内の実験ではイベルメクチンが新型コロナウイルスの増殖を抑える効果が確認されました。
しかし、今回イベルメクチンと偽薬(プラセボ)の飲んだ新型コロナウイルスの患者さんでは、発熱や喉の痛みなどの症状の改善に差がないことが判りました。
その結果からイベルメクチンは新型コロナウイルスの治療に効果がないことが証明されました。
press220926飲み薬で使えることからこれまで、軽症の新型コロナウイルスの患者さんに使われてきましたが、今後は副作用が起こる可能性もあるため、使用は控えるべきと考えます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症