インフルエンザの治療薬はどうやってウイスルの増殖をおさえるか
インフルエンザウイルスは新型コロナウイルスと同じRNAウイルスの仲間です。
ウイスル自体は自分で増殖することはできず、ヒトの細胞の中で増殖します。
インフルエンザの治療薬の代表的なものはノイラミダーゼ阻害薬と呼ばれるものです。
この薬剤は増殖したインフルエンザウイルスが最終的にヒトの細胞の外へ放出されるときに必要な酵素であるノイラミダーゼの働きを阻害します。
そのことによって、インフルエンザウイルスは一つ一つのウイスルになることができず、最終的に増殖できないことになります。
それ以外の働きをするインフルエンザの治療薬として「ゾフルーザ」があります。
この薬はインフルエンザのmRNAの複製を邪魔することによって、ウイルスの増殖を防ぎます。
現在、日本で使用できる主なインフルエンザの治療薬は
現在、日本で患者さんに使用できるインフルエンザの治療薬はタミフルをはじめ、5種類の薬剤があります。
その中で、4種類はノイラミダーゼ阻害薬と呼ばれるものです。
投与方法も経口薬、吸入薬、点滴静注薬と3種類があります。
中でもタミフルは最も標準的な薬剤で、1日2カプセルを5日間投与します。
また、タミフルを吸入薬としたものがリレンザと呼ばれる薬剤です。
同じ吸入薬でもイナビルは1回の投与で治療が終了します。
さらに、ラピアクタは点滴静注の薬剤で、主に重症のインフルエンザの患者さんに使用されます。
また、ゾフルーザはノイラミダーゼ阻害薬とは異なる作用に有効なインフルエンザの治療薬です。
ゾフルーザも経口薬で、1回の投与によって治療が終了します。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症